パラダイム転換。
「パラダイム転換」ってご存知でしょうか?
それは「ああ、なるほど。」と、今までそう思っていたことが
違う解釈に変わった瞬間のことを言います。
「パラダイム転換」とはつまりこういうことです。
(ある日の朝、電車の乗客は皆静かに座っていました。
新聞を読む人、ヘッドホンで音楽を聴く人、静かに目を閉じている人・・・・
電車が途中の駅に止まると、そこに一人の男性が子供たちを連れて乗り込んできました。
すぐに子供たちは騒ぎ出し、一瞬にして車内の静けさが吹き飛んでしまいました。
しかし、その男性は私の目の前に座って目を閉じたまま動こうとしません。
まるで廻りの様子に気付いていないように見えます。
子供たちと言えば、大声を出したり、走り回ったりと好き勝手にやっています。
そんな状況の中、私は少しイライラしながら様子を眺めていました。
目の前の男性はそれでも何もしようとしません。
親ならキチンと注意をするべきであろうと思い、子供たちに対して
何もしようとしない男性の事が信じられませんでした。
次第に車内の雰囲気もイライラ」しているのが感じ取られるようになり、
たまらず男性の隣に座っていた初老の女性が、
「あなたのお子さんが皆さんの迷惑になっているようですよ。
もう少しおとなしくするように言って頂けませんか。」と言った。
すると男性は目を開け、子供たちの様子を今初めて気付いたかの
表情になり、柔らかいもの静かな声でこう答えた。
「ああ、ああ、本当ですね。どうにかしないと・・・・・。
たった今、病院から出てきたところなんです。
一時間ほど前に妻が・・・・・・・・、
あの子たちの母親が亡くなったものですから、いったいどうしたらいいのか・・・・・・・。
子供たちも混乱してるみたいで・・・・・・。」
その瞬間私の中で何かが変わった。)
それがパラダイム転換です。